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ミシマ社の雑誌 『ちゃぶ台13』 特集 三十年後
ミシマ社の生活者のための総合雑誌10/24発売!
周防大島から、野の畑みやた農園の宮田正樹さん、MIKKEの内田健太郎さん、中村明珍が寄稿しております。
以下、ミシマ社からのご紹介です。
特集:三十年後
大地震、地球沸騰化、食糧危機、生物種激減・・・
こうした事態が確実に起こっている、三十年後。
不安ばかりが先行するが、今、私たちは何をどう考えていけばいいのだろう?
・巻頭漫画 益田ミリ「コーヒーを飲みながら」
・巻頭インタビュー 松村圭一郎「日本の最先端は周防大島にあり」
・三浦豊×宮田正樹「森と土を愛してやまない二人が語る『三十年後』」
・特集「三十年後」書き下ろしエッセイ6本!・・・万城目学/土井善晴/佐藤ゆき乃/上田誠/白川密成/猪瀬浩平
・尾崎世界観 書き下ろし小説「げーと」
***
★今号より刊行ペースを年一誌に戻します。
「時間の速度をゆるめる」という、これからの時代に欠かせない行動基準を雑誌づくりで実践し、時間をかけて一冊入魂した新しい「ちゃぶ台」をお届けします。ご期待ください!
***
*特集に寄せて(巻頭文)
編集会議が硬直した。「自分と〇〇のあいだに線を引き直す」。昨年末、一度はこの特集に決まった。が、年始、能登半島の地震を経て、これではすこし弱い気がした。もっと直接的に不安を抱えて過ごす人たちに届くほうがいいのではないか? 企画を白紙に戻し、編集チームで話し出したところ、「ハラ(肚、腹)で考える」「どっしり」とかなんとか、重心を下のほうへ持ってくる案が出た。主に私が出したわけだが、やんわり、時に、はっきり否定された。そうして三、四時間が経過し、冒頭の状態へ陥った。
沈黙。しばしの無言の間が長く感じられた。メンバーの一人が、「たとえばですが、むしろ今を取り上げるのではなく」と言って続けた。「三十年後、とか」。
三十年後――。このひとことで場が動いた。場に接着していた自分たちの脳がひき剝がされるように、解放されるのを実感した。
ああ、そうか、これこそが自分たちの役割なのかもしれない。震災などが起こると、私たちは知らず知らずのうちに、自らを檻のような狭い空間に閉じ込めてしまいがちだ。いや、災害がなくとも私たちはSNSの世界で日々自らを息苦しいほうへと追いやっているのだろう。まずはその状態から解き放つ。そのために、生きたことばを投げかける。「ちゃぶ台」の意義はそういうところにあるのではないか。
と、そのとき思えたわけではない。この会議の二カ月ほどあとである。本誌の巻頭に掲載した松村圭一郎さんのインタビューの際、特集の意図を説明し、松村さんの話を聞いているうちに、全てが重なって見えてきた。全てというのは、松村さんがもっと長いスパンで思考をしたくて一年間日本を離れたこと、私たちが「三十年後」を掲げたことで硬直状態を抜け出せたこと、今に向き合うためにあえてことばを遠くに投げる必要がときにあること、など。
その意味で、本号の掲げる「三十年後」はけっして未来予測ではない。「今」を大切にするために、一度、今から離れてみる。そうして見えてくる世界に、光や希望もあるのではないだろうか。このような仮説を胸に、本号を編みたい。
――本誌編集長 三島邦弘
目次
●巻頭
益田ミリ「コーヒーを飲みながら」(漫画)
松村圭一郎「日本の最先端は周防大島にあり」(インタビュー)
●特集 書き下ろし6本!
万城目学「来たるべき時代」(エッセイ)
土井善晴「私たちの『私』を知る」(随筆)
佐藤ゆき乃「永眠のためのアイスクリーム」(エッセイ)
上田誠「劇団と劇の残しかた 時をかけるか、劇団」(エッセイ)
白川密成「三十年後もボクは坊さん?」(エッセイ)
猪瀬浩平「『三十五年に一度マツリが生まれるんだよ』」(エッセイ)
●ちゃぶ台の中の周防大島
三浦豊×宮田正樹(対談)「森と土を愛してやまない二人が語る『三十年後』」
中村明珍「声がやってくるところ」(エッセイ)
内田健太郎「三十年後の僕へ、あるいは君へ」(エッセイ)
●連載
伊藤亜紗「会議の研究(4) 福祉事業所の合意未満」(論考)
斉藤倫「三十年」(児童文学)
齋藤陽道「私がそこにいない風景をあるがままに愛するには」(フォトエッセイ)
榎本俊二「ギャグマンガ家山陰移住ストーリー PART12」(漫画)
藤原辰史「民と文字文化」(論考)
益田ミリ・平澤一平「未来」(漫画)
尾崎世界観「げーと」(小説)
寄藤文平「絵の話。未来の描き方その7」(絵と言葉)
書店、再び共有地(レポート)
本灯社〈福岡県福岡市〉
ほなび〈広島県庄原市〉
三島邦弘(ブックレビュー)
編集後記
https://mishimasha.com/
著者情報
編: ミシマ社(ミシマシャ)
ミシマ社は、「原点回帰の出版社」として2006年10月に創業。全員全チーム(編集・営業・仕掛け屋)の仕事をするというスタイルで、東京・自由が丘、京都府京都市の二拠点で、「一冊入魂」の出版活動を展開中。取次店などを介さない「直取引」という営業スタイルで「一冊」を全国の書店に卸している。
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